体のコラーゲンってどうやって作られてるの?
はじめに
どうも、キャピラリストです。
テレビや広告で「コラーゲン配合」「コラーゲンでお肌プルプル」なんてフレーズ、よく目にしますよね。ドラッグストアに行けばコラーゲンのサプリがズラリ、居酒屋ではコラーゲン鍋がメニューに並んでいたりします。
でも、ふと思いませんか?
「そのコラーゲン、体の中でどうやって作られてるの?」
今日はこの素朴な疑問について、科学的な視点から話していきたいと思います。
そもそもコラーゲンとは?
コラーゲンはタンパク質の一種です。
私たちの体は、水分を除くと、その多くがタンパク質でできています。筋肉、内臓、髪の毛、爪――これらすべてタンパク質です。そしてコラーゲンは、その中でも体の「構造」を支える役割を担っています。
具体的には、皮膚、骨、軟骨、腱、血管壁、角膜など、体のあらゆる組織に存在し、いわば体の骨組みや接着剤のような働きをしています。
コラーゲンには30種類ほどのタイプがあることがわかっていますが、最も多いのはI型コラーゲンと呼ばれるもので、皮膚や骨、腱などに豊富に含まれています。
コラーゲンは体で最も多いタンパク質
コラーゲンは体内に含まれるタンパク質の中で最も多く、体内の全タンパク質の約30%を占めると、多くの教科書やレビュー論文で言及されています。
体内タンパク質の約30%がコラーゲンと聞くと、どうやって体がそんなに多くのコラーゲンを保持・配置しているのか、不思議に感じますよね。
コラーゲンがどのような状態で体の中に存在しているのか、例として皮膚の周辺を見てみましょう。
皮膚で見るコラーゲンの位置関係
皮膚は、大きく3つの層に分かれています[図1]。※図はGeminiにて生成(以後も同様)

表皮(ひょうひ)
一番外側の薄い層です。 紫外線や細菌など、外界から体を守るバリアの役割をしています。
- 主役は 角化細胞(ケラチノサイト)
- コラーゲンは ほとんど存在しない
つまり、
「お肌のハリ = 表皮の問題」ではない
ということが、ここから見えてきます。
表皮の奥(基底側)で新しい細胞が誕生し、その増殖によって古い細胞が体の外側へ押し出され、最終的に角質として剥がれ落ちていきます。
角化細胞について詳しく知りたい方は、こちらの外部サイトがわかりやすく解説しています。 花王 スキンケアナビ
真皮(しんぴ)
皮膚の厚みの大部分を占めるのが真皮です。 ここに大量の I型コラーゲン が存在します。
真皮では、
- コラーゲン線維
- エラスチン線維
- ヒアルロン酸
などの基質が、三次元的なネットワークを作っています。
(基質とは、細胞が埋め込まれている「足場」や「土台」となる物質の集まりのことです。)
イメージとしては、
- コラーゲン:太くて丈夫な鉄骨
- エラスチン:しなやかなゴム
- ヒアルロン酸:水を含むクッション材
これらが組み合わさって、皮膚のハリ、強度、弾力を支えています。
皮下組織
脂肪細胞が多い層ですが、ここにも血管や神経を支えるためのコラーゲン性の構造が存在します。
皮膚を例に挙げましたが、血管の外膜(血管壁の外側の層)にも、同様に豊富なコラーゲンが含まれています。
コラーゲンって、体でどうやって作られているの?
さて、本題です。
私たちの体のコラーゲンは、主に 「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」 という細胞が作っています。
線維芽細胞は、皮膚の真皮、腱や靭帯、血管のまわりなどに存在し、体の骨組みになる材料を作る職人のような細胞です。
※骨や軟骨では、それぞれ骨芽細胞や軟骨細胞もコラーゲンを作っていますが、基本的な合成の仕組みは共通しています。
コラーゲンは、食べ物からそのまま体に届くわけではなく、こうした細胞が一から作り直しています。
コラーゲンができるまで
コラーゲンは、線維芽細胞の中で部品が作られ、細胞の外で組み上げられます[1]。
流れをざっくり説明すると、次のようになります[図2]。
ステップ1:【細胞の中】材料を作って組み立てる
-
遺伝子から設計図を読み取る
DNA → RNA → タンパク質(1本鎖)
タンパク質とは、いくつものアミノ酸が連なってできたものです。 -
1本鎖を加工する
できた1本鎖に、ヒドロキシル化などの化学的修飾が加えられます。
これは、コラーゲンが正しい立体構造をとり、十分な強度を持つために必要な工程です。 -
3本の鎖をより合わせる
→ プロコラーゲンという未完成品ができます
(「プロ」は「前の」という意味)
ステップ2:【細胞の外】仕上げて強くする
-
両端をカットする
プロコラーゲンのN末端・C末端が切り落とされ、
→ トロポコラーゲンになります。 -
線維に組み上げる
トロポコラーゲン同士が並び、束になります。 -
架橋でガッチリ固定
化学結合によって線維同士がつながり、丈夫なコラーゲン線維が完成します。
ポイントは、コラーゲンは「細胞の中で部品を作り、外で組み立てる」二段階構造だということです。
じゃあ、コラーゲンを食べる意味はないの?
この記事では、生化学的な立場から考えてみます。
結論から言うと、一般的に良質だとされる魚などの食品は、積極的に摂取したほうがよいと考えています。
コラーゲンは結局タンパク質の一種なので、体内では消化され、アミノ酸やペプチドといった、より小さな単位に分解されます。
- アミノ酸
- ペプチド
- タンパク質
の順で、分子の規模が大きくなっていきます。
分解や吸収のされ方には個人差がありますが、最終的にはこれらが栄養として血液に乗り、細胞まで運ばれます。そこで線維芽細胞にも材料が供給され、コラーゲンが作られるわけです。
一方で、食品やサプリメントを人に摂取させて効果を調べた研究の中には、製品の宣伝を目的としたものが含まれている可能性もあります。
そのため、
「体に取り込まれるときには、基本的に一度分解される」
という事実を認識した上で情報を見ることが重要です。
若々しさを決めるのは「何を食べたか」より「細胞の状態」
ここが一番大事なポイントです。
体のコラーゲン量や質を決めているのは、
- 線維芽細胞が元気か
- 酸化ストレスが少ないか
- 炎症が続いていないか
といった細胞のコンディションです。
コラーゲンを大量に食べているのに不健康な人よりも、バランスよく食べ、よく寝て、ストレスが少ない人のほうが、結果的にコラーゲンはきれいに保たれると考えるのは妥当でしょう。
食べたコラーゲンは、「建材そのもの」ではなく、線維芽細胞が働きやすい環境を作る一要素として考えておくのがよさそうです。
まとめ
私たちの体を構成するコラーゲンは、線維芽細胞と呼ばれる細胞によって生産されています。
したがって、プルプルなコラーゲンを保つために必要なのは、特別な成分よりも、健康的な生活習慣です。
今回は詳しく触れませんでしたが、コラーゲン合成の過程にはビタミンCなど、他の栄養素も関与しています。アミノ酸だけでなく、そうした要因にも目を向ける必要がありそうですね。
注意事項
この記事では「コラーゲンが全タンパク質の約30%を占める」という記述について、あえて詳細な引用を省きました。
この数値は、組織ごとの測定値をもとにした推定であり、厳密な全身定量ではありません。一次情報や測定手法が明確でないまま、学術論文やWebサイトで広く使われてきた表現でもあります。
この30%という数字自体を再評価すべきだとする論文も存在します。ただし、マウスモデルを用いた研究であるため、人への単純な適用は難しい点もあります。
参考文献
[1] Cole MA, Quan T, Voorhees JJ, Fisher GJ. Skin collagen through the lifestages: importance for skin health and beauty. Plastic and Aesthetic Research. 2021;8:2.
<番外編>今回調査をして感じたこと
定量的に比較できるデータはありませんが、今回日本語と英語の両方で情報収集を行った際、検索結果の傾向に違いがあると感じました。
日本語で調査した場合、美容や健康に関連した情報が多く表示される一方で、英語で調査すると、美容関連の話題に加えて、学術論文や基礎研究に関する情報が多く見られました。
また、日本語の情報の中には、研究の背景や情報源が明確に示されていないものも少なくありませんでした。これは必ずしも内容が誤っているという意味ではありませんが、読み手としては注意が必要な点だと感じます。
美容や健康への関心が高まること自体はとても良いことですが、医療行為やそれに準ずる情報については、提供元や根拠を確認しながら慎重に判断することが大切です。
情報があふれる時代だからこそ、「誰が」「どの立場で」「どんな根拠にもとづいて発信しているか」を意識して情報に触れたいですね。

