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2025/11/3
正しい情報とは何か?

正しい情報とは何か?


導入

いま、私たちは情報が溢れすぎている時代に生きています。 SNSやニュース、AIの文章生成など、あらゆる場面で大量の情報が流れています。 だからこそ、「どの情報を信じるべきか」を自分で見極める力がますます大切になっています。

「そんなに簡単に騙されないよ」と思うかもしれません。 しかし、2024年の「偽・誤情報、ファクトチェック、教育啓発に関する調査」によると、 実際には 85%の人が偽・誤情報に気づかないまま受け取っているそうです[1]。 私自身も、恥ずかしながら騙されてしまったことがあります。

では、偽・誤情報とはどんなものなのか? そして、どんな点に気をつけていけばいいのでしょうか? 今回は、私の個人的な考えも交えながら整理していきたいと思います。

偽・誤情報とは?

「偽誤情報」は、大きく偽情報と誤情報の2つに分けられます。

  • 偽情報(Disinformation):意図的にウソとして作られた情報
  • 誤情報(Misinformation):勘違いや誤解のまま拡散された情報

(出典:総務省「上手にネットと付き合おう!」[2])

たとえば、誰かが意識的に嘘を発信したとします(偽情報)。 それを見た別の人が「本当だ」と信じて拡散する。これが誤情報です。 このように、SNS時代では偽情報と誤情報が連鎖しながら広がっていきます。

ただし、ここで強調したいのは―― 「偽情報=悪」「誤情報=善」ではなく、白黒はっきりしないグレーゾーンが多いということです。 現実の情報は、意図と誤解が入り混じったものがほとんどです。 今回はその中でも特に、AIによる情報と「論文によると」という表現に注目したいと思います。

AIによる情報提供の落とし穴

AIのおかげで、誰もが専門的な情報を簡単に調べられるようになりました。 「論文によると~」という投稿もSNSでよく見かけます。 科学的な根拠をもとにした発信が増えたのは喜ばしいことです。

しかし、AIが生成した文章には"ハルシネーション(虚構)"と呼ばれる問題があります。 つまり、AIがそれらしく見える"間違った情報"を、無意識のうちに作ってしまうことがあるのです。 その結果、AIが"偽情報の発信者"、人間が"誤情報の拡散者"となってしまう場合があります。 これが、AI時代特有の新しい偽・誤情報の形です。

「主張だけを見る」危うさ

最近、SNSでは「論文によると〜」という言葉をよく見かけます。 しかし、その多くは論文の主張部分だけを引用しており、 その主張を支える実験データや議論(多くはFig.1以降に示される部分)までは 十分に読まれていないように感じます。

これはあくまで私自身の観察や感覚であり、定量的なデータがあるわけではありません。 ただ、図やタイトルだけで「分かった気になる」投稿が多いことから、 多くの人が研究のロジック全体よりも"主張のわかりやすさ"を重視して情報を受け取っているように見えます。

そして、それが"間違い"というよりも、人間の脳の仕組みでもあるのかもしれません。 「新しい」「わかりやすい」「なるほど!」と感じた瞬間、 私たちの脳はドーパミンを放出し、心地よさを感じます。 この"理解した気持ちよさ"こそが、情報の拡散を後押ししているのだと思います。

SNS・ブログ発信における注意点

SNSやブログなど、個人が気軽に情報を発信できるようになったことは素晴らしいことです。 しかし同時に、「情報源が正しいかどうかを確認せずに発信してしまう」ケースも増えています。 発信者に悪意があるとは限りません。むしろ善意でシェアしている人が大半です。 ただ、スピードや生産性を優先するあまり、検証の時間が取れないのです。

だからこそ、受け取る側である私たちは「誰が言っているのか?」を意識することが大切です。

「誰が言っているか」に注目しよう

情報の信頼性を判断する最も基本的なポイントは、発信者の背景です。 AIやSNSを活用している人は多いですが、専門家は情報の正誤を論理的に検証できる力を持っています。 たとえば、博士号を持つ研究者は査読論文や学会発表などを通じて専門分野を深めています。 とはいえ、専門家の間でも意見が分かれることは珍しくありません。 「高タンパク食が健康にいいかどうか」などは、その典型例です。

つまり、「誰が言っているか」だけでなく、「なぜそう言えるのか」に目を向けることが大切です。

まとめ

偽・誤情報は、悪意のあるものだけではありません。 善意の人が発信しても、間違っていることはあります。 私自身も、発信する立場としてその例外ではありません。

大事なのは、「なぜそう言えるのか?」と一度立ち止まって考える習慣です。 もし間違いに気づいたら、それは成長のチャンス。 「なぜ間違いだったのか」を考えることで、正しい情報はより深く記憶に残ります。

ニュースや科学の話題を友人と話し合うことも、理解を確かめる良い練習です。 情報があふれる時代だからこそ、「正しさ」を一緒に考えていけたらと思います。

参考文献

[1] 山口真一ほか (2024). Innovation Nippon 2024 偽・誤情報、ファクトチェック、教育啓発に関する調査

[2] 総務省「上手にネットと付き合おう!」特集ページ

Capillarist

Capillarist

都内の大学で研究活動を行っている大学院生。 専門は「細胞を組み立てて理解する」組織工学。 科学をわかりやすく伝えることを目指しています。