微生物
極限環境
微生物入門
科学
2025/11/16
[微生物入門]微生物は至るところにいるぞ!

[微生物入門]微生物は至るところにいるぞ!

はじめに

私たちの周りには多くの微生物が生息しています。 微生物とは「私たちの目には見えない小さな生物」のことを指しています。 微生物がどんなところで見かけてたり使われているのでしょうか? ビールのアルコール生産、パンの発酵など私たちの生活を豊にするものもあれば、食べ物を長い間放置すると生えてくるカビやお風呂場の嫌なカビ、ハチミツに含まれて幼児が食べると悪さをする菌もいます。 しかし、微生物はもっともっといろんな所で私たちの生活を豊にしていますし、私たちの想像もしないような場所で生息しているんです!今日はそんな話!

微生物は至るところにいる!

微生物は私たちが思いもよらないような所でも生息しています。例えば、冷蔵庫の中でも増えていけるものはいますし、私たちが生きていけないような地中奥深くの酸素がない環境や海底のチムニー(高音の熱水が吹き出す場所)にも存在しています。 しかし、地球上の微生物の個体数で見たときに約75%もの微生物は酸素がない環境で生きていることが推定されるため中々見かける機会はありません(そもそも見えないんですがね!)[1]。 それはそうとすごく暑かったり寒かったりと極限の環境でも生きていけるってすごく不思議ですよね。

では、なぜそんな極限環境でも生きられるのでしょうか? 熱水噴出孔のような100℃近い環境では、通常の生物なら細胞膜が壊れ、タンパク質も変性して死んでしまいます。

しかし極限環境微生物は、細胞膜の材料や タンパク質の構造そのものが特別仕様です。 古細菌の膜はイソプレノイド鎖とエーテル結合でできており、熱でゆるみにくく高温でも安定。 また、タンパク質の内部に"強く結びつく補強のような構造"(塩橋)が多く、100℃近くでも壊れにくくなっています。

こうした「耐熱デザイン」のおかげで、私たちが到底生きられない環境でも、彼らは元気に暮らしているのです。 寒い環境で微生物が生きていける理由については、以前の記事で紹介しているのでぜひご覧ください

微生物はいろんな場面で私たちの生活を豊にしてくれる!

そんなどこにでもいる微生物たちは多くの場面で私たちの生活を支えてくれます。冒頭で話したようなビールを生産する麹菌(こうじきん:Aspergillus Oryzae)であったり、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)だけではなく、洗濯に使う洗剤(セルラーゼという酵素)やPCR で使われる耐熱性 DNA ポリメラーゼ(Taqなど)も、微生物が持っている機能を利用しています。 それだけではなく、微生物は間接的に地球レベルでの物質循環に関わっていて、例えば窒素やリンといった資源は私たちが農業を続けていくには非常に重要です。

終わりに

微生物は地球上の至る所に存在しています。中には動物が生きられないような過酷な環境で生きている微生物もいます。これだけ地球上に広く存在しているとなんか宇宙のどこかには微生物がいるんじゃないかって気がしてきますよね!

次回は、こんな微生物たち実は増やすのが難しいっていう話をしていきます。ぜひ読んでください!それではまた。

参考文献

[1] Flemming et. al, Nat Rev Microbial, 2019

[2] Naylor D, et. al. Annu. Rev. Environ. Resour. 2020

Capillarist

Capillarist

都内の大学で研究活動を行っている大学院生。 専門は「細胞を組み立てて理解する」組織工学。 科学をわかりやすく伝えることを目指しています。