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2026/4/9
[哲学]線と色で世界を捉える

[哲学]線と色で世界を捉える

はじめに

よく物事について語るときにピラミッドで説明されることが多いと思うのですが、筆者はそれに加えて独自の発想を持っています。今回はその哲学を語ってみようの回です。

エビデンスはありません!!(むしろこの記事が何かの参考として引用されることすらあるのです笑)

ピラミッドが間違っているというわけではなく、むしろ何かを説明するときの完全性はピラミッドの方が高いと思うのですが、こんな風に考えてみてもおもしろくないか!? という話です。

今回のキーワードは 「輪郭」「絵の具」 です!


なぜ「ピラミッド」ではなく「輪郭と絵の具」なのか

まずは、この発想のそもそもの動機についてお話しします。

ピラミッド型の説明は、基礎から応用へときれいに積み上がっていくイメージを与えてくれます。確かにわかりやすい。ただ、実際に何かを学んだり身につけたりしている感覚を表すには異なるアプローチもあると考えています。

色は時間と共に色褪せていくので、少しずつ色を付け足していかなければなりません。 身につけたものは、日々繰り返していかないと忘れていったり、技術が低下すると思うのですが、ピラミッドモデルではそれが不十分であると感じています(風化によって崩れるという解釈をすればありかもしれません)。

そんな「不安定さ」や「色褪せ」までを含めて捉えたくて、筆者は物事を捉えるときに、キャンバスに絵を描くようなイメージで世界を見ることがあります。


輪郭と絵の具で世の中を捉える

基本のイメージ

輪郭があって、それを絵の具で色塗りするイメージを筆者は持っています。

輪郭は最も重要です。輪郭は全ての物事の基礎です。輪郭の線は土台なので、その輪郭がしっかりしていないとどこに絵の具を塗ったらいいかわからないので非常に重要です。

次に色を塗っていきます。この色はピラミッドで例えるなら上に積み上げるもののことです。しかし、絵の具は時間と共に輪郭と比べると色褪せてしまいます(そんな絵の具が存在すると思ってください)。 対して輪郭は一度身につけたらなかなか忘れない基礎です。

なぜこのように考えるかというと、物事は綺麗に積み重なっていくわけではなく、非常に不安定です。ピラミッドと違うところは、すでに身につけたものも(輪郭も含めて)色褪せてゆく、ということを意識して欲しいということです(突き詰めればピラミッドも建造物なので崩壊という観点で捉えてみれば面白いかもしれませんね!)。

白紙からのスタート

最初、紙は白紙なのでどんな色にも染めることができます。1つの絵は1つの技術の習得だと思ってください。英語やスポーツのようなものです(後ほど具体例を詳細に書きます)。

しかし絵を完成させるには、正しい色で塗らなければいけません。ただ1つの絶対的な色の配色があるわけではないので、いろんなバリエーションがあるとは思うのですが、多くの人が良いと思うようなものは限られています。

そして厄介なのが、不快な色で塗ってしまうとそれを上から塗り直してもなかなか白紙のように戻らないということ。これが「悪い癖」の正体です。


具体例1:バスケットボールのシュートフォーム

これはバスケで例えるとシュートフォームです。

人の体の構造によって同じようにシュートは打てないので、トップレベルにあっても選手によってフォームに違いが生じます。ただし、基礎となる教科書的な打ち方、共通点はあるので、これが 輪郭 に相当します。

そして、その土台の上に、選手ごとの身長・腕の長さ・リズム・間合いといった個性が 絵の具 として乗っていく。同じ「良いシューター」でも、絵の色合いはひとりひとり違います。

問題は、変なシュートが1度癖として身についてしまうと、それは白紙の状態で色を塗る場合よりも修正は大変だということです。輪郭そのものが歪んだまま固まってしまうと、その上にどんな絵の具を重ねてもちぐはぐな絵になってしまうのですね。


具体例2:語学学習

抽象的な話が多いので他の具体例についてみていきましょう。語学の場合です。

非ネイティブの視点:文法が輪郭、単語が絵の具

色々な視点での捉え方があると思うのですが、非ネイティブの方が語学学習をする場合は 輪郭は文法、絵の具は単語 です。

文法は一度しっかり身につけてしまえば色褪せにくいですが、単語はその量に際限がなく、文法と比べると使用頻度が少ないものもあるので色褪せてしまうというイメージです。

例えば、"I think he is happy every day." という文を見たとき——主語+動詞(+述語)が基本で…thinkの後はthatが省略されていて、完全な文がくる——のように意識を張り巡らせている、もしくは自動的に行っている状態です。この輪郭の線は、より完璧な状態に近いほど強固で、絵の具を塗りやすい状態です(土台が抜け落ちにくい状態)。

ネイティブ(幼児)の視点:輪郭は経験から立ち上がる

ネイティブの場合というか、幼児がまっさらな状態で言語を身につけてゆく過程では、非ネイティブのように言葉や構造を使って母国語で理解する状態とは違って、単語をたくさん聞いて、自分の中で「あ?これかな?」という法則性・規則性を理解して少しずつ話せるようになります。これが輪郭です。

輪郭は年齢と共にはっきりとした線になり、過ごしている環境によって塗られる色が変わってきます。

  • 「育つ」という観点で見ればそれは新しいボキャブラリーの習得
  • 仕事で捉えると、専門性によって日々使う言葉に一定の偏りが出てくるのでそれによっても色が変わる
  • その色は、性格によっても変わるのかもしれません

同じ「日本語ネイティブ」でも、エンジニアと料理人と詩人では絵の色合いがまるで違う——そう考えると、この比喩が少し実感を伴って見えてこないでしょうか。


模倣か想像か

輪郭と絵の具で捉える考え方を使うと、さらにもっと物事について深く考えることができます。

参考の絵があると、人はそれを真似て自分の紙にもその絵をかき、色を塗っていきます。学びの多くはこの「模倣」から始まります。先人の輪郭をなぞり、同じような色を重ねていく。

一方で、誰もみたことがない新しい絵の誕生は、まさに新しいものが世の中に生まれる瞬間です。これまでにない輪郭、これまでにない配色——創造とは、既存の絵を十分に知ったうえで、そこから一歩外に踏み出すことなのかもしれません。

模倣と創造は対立するものではなく、どちらも同じ「紙と絵の具」の上で起きている営み。そう捉えると、少し肩の力が抜けて学びに向き合える気がします。


終わりに

あなただったら輪郭と絵の具で自身のことについて説明するとき、何について考えますか?

スポーツや語学に限らず、もっとたくさんのもので溢れていると思います。仕事、趣味、人間関係、あるいは自分の性格そのもの——どれも輪郭と絵の具に分解してみると、新しい見え方が出てくるかもしれません。

そのことについて深く考えるとき、さらなる自己理解につながるかもしれません!この記事を読んであなたの人生の新たな知恵として、そしてこの知恵を使ってあなたの人生が豊かになれば筆者はとても嬉しいです!

ではまた!

余談:専門家とはこういった抽象的な考え方を学術的な論文をもとにして、より説得力のあるものにしてくれます。例えば脳の構造を用いて、こういう違いがあるからある変化が生まれるのだと。一般人が語る経験談よりもさらに一段上をゆく。素晴らしいことです。

Capillarist

Capillarist

都内の大学で研究活動を行っている大学院生。 専門は「細胞を組み立てて理解する」組織工学。 科学をわかりやすく伝えることを目指しています。

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